検証バブル 2008 2 10

 今日もまた、日本のバブル経済の話をしましょう。
「あのバブル経済は、株式バブルよりも、
不動産バブルの方が大きかった」という人がいます。
 しかしながら、そういう見方に対して、私は異論を持っていたのです。
確かに、株式はバブル状態だったが、不動産は、どうか。
つまり、不動産バブルは、それほど大きくなかったと考えていました。
 なぜか。
それは、世界地図で、日本列島を見てください。
日本列島は、大部分が山岳地帯と言えるでしょう。
平野は少なく、しかも平野には、農業保護のために厳しい開発規制があるのです。
そういうわけで、土地の供給という面から考えれば、
地価が高くなっても、仕方ない面があると思っていたのです。
 では、なぜ、政府は、「理由があった不動産バブル」をつぶしたのか?
 第一に、「地上げ」という、強引な土地買収が、
社会問題として注目を集めたからでしょう。
 第二に、当時は、格差問題が、社会の大きな問題となっていたのです。
「不動産を持っている人」と「不動産を持っていない人」との資産格差が、
あまりに大きくなって、それが社会問題となったのです。
「こうした不公平感(格差)を何とかしてほしい」という世論が強くなってきたのです。
 そこで、政府は、というよりも政治家は(マスコミも)、
バブル叩きをして、人気取りをするようになったのです。
 当時は、多くの人が、不動産価格の高騰を、一方的に悪者にして、
これを退治するということで、人気取りをしていたのです。
 結局、バブル退治は成功して、不動産価格が沈静化し、
いや不動産価格は、ひたすら下がり続け、半値になってしまったのです。
地域によっては、4分の1になったところもありました。
 そして、勝者は、誰もいなくなったのです。
全員が敗者、つまり、みんなで貧しくなったのです。
「みんなで貧乏を目指せば、みんな貧しくなる」という、
壮大な社会実験をやってしまったような気がします。
 あの当時、金持ちは金持ちで、社会貢献をしていたのです。
それは、彼らが高額納税者になることで社会貢献をしていたのです。
現実に、当時は、税収が好調だったのです。
(もちろん、彼らが脱税や節税をしていたら、社会的に非難されるべきでしょう)
 バブル経済崩壊後、税収は、大きく落ち込んでしまいましたので、
財政改革と称して、福祉の予算も削減されたと思います。
 もう一度、書きます。
日本の不動産バブルには、理由があったのです。
今一度、世界地図で、日本列島を見てください。
日本列島は、大部分が山岳地帯です。
平野は少なく、しかも平野には、農業保護のために厳しい開発規制があるのです。
つまり、土地の供給が少ないのです。
そして、当時は、少子化問題など、なかったのです。

衆愚政治 mobocracy 2004 8 20
 人気取りの政策は、必ず失敗します。
たとえば、2004年8月19日の日本経済新聞には、このような記事があります。
「新宿の西富久の土地には、旧日本債券信用銀行など複数の銀行が、
総額数百億円の融資をつぎ込んでいた。
 ところが、旧大蔵省が、不動産向け融資を抑制させる『総量規制』を導入。
資産デフレの中で、融資の担保になっていた土地は、
1平方メートル約200万円から55万円に急落。
 担保割れで、融資は不良債権化し、
地上げ途中の土地は、そのまま塩漬けになった。
 土地神話を背景に膨らんだ不動産担保融資は、
地価下落で、巨額の不良債権に姿を変えた。
 銀行は、公的資金注入を受け、
金融再編を繰り返しながら、その処理に10年の歳月を要した。」
 当時は、多くの人が、不動産価格の高騰を、一方的に悪者にして、
これを退治するということで、人気取りをしていたのです。
しかし、こうした人気取りの政策は、必ず失敗します。
 これは、大衆迎合が度を過ぎると、どうなるかという失敗例でしょう。
このケースは、衆愚政治の一例として、記憶に残るでしょう。
 資本主義国において、株式市場は、エンジンであり、富の源泉でもあります。
しかし、日本においては、もうひとつエンジンがありました。
 それは、不動産価格です。
実は、これが、本当の「日本の富の源泉」だったのです。
実質的には、株式市場は影の存在であり、本体は不動産価格だったのです。
そういうわけで、日本においては、ある意味で、
不動産価格は、株価の役割を果たしていたのです。
 たとえば、アメリカにおいて、株価を下げる政策を実施したら、どうなるでしょうか。
おそらく、アメリカ経済は、大混乱となってしまうでしょう。
しかし、日本においては、そういう政策をやってしまったのです。
 不動産融資の総量規制、金利の急激な引き上げ。
こういう政策を実施すれば、不動産価格が急落しますので、
当時の世論からすれば、人気取りとなったでしょう。
しかし、日本経済は、大きく失速しました。
 確かに、バブル経済の時は、多くの問題が発生しました。
しかし、日本の富を使って、世界を救えたのです。
アジアの発展、中東の復興、アフリカの救済に貢献できたのです。
 今、こうした救済をできる国は、一つもないでしょう。
残念なことですが、世界経済は、迷走を続けるかもしれません。
後の祭りですが、日本のバブル経済という繁栄が、世界を救うために使えたのです。
















































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